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超短編小説 「冬の残像」



 白い息が、空へと消えていく。自分の形を持たないまま、ただ風に流される。足元の雪は、踏みしめるたびにわずかに沈み、乾いた音を立てた。

 

 湖は凍りつき、静かだった。氷の下では何かが動いているはずなのに、その気配すら伝わってこない。時が止まってしまったのか、それとも自分だけがこの世界から取り残されてしまったのか。

 

 遠くで誰かが手を振っている。いや、ただの枯れ枝だ。風に揺れているだけだ。

 

 冬はすべてを均一にする。色を奪い、音を消し、形すら曖昧にする。自分の足跡も、振り返るたびに薄れていく。もう少し歩けば、完全に消えるだろう。

 

 それでいいのかもしれない。冬はいつか終わる。けれど、自分のいた証が消える前に、もう一度、名前を呼んでくれる誰かがいたらよかったのに。

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