超短編小説 「気持ちのいい朝」
- Takahito Matsuda
- 2月1日
- 読了時間: 1分

目が覚める。窓の外は白い。カーテンの隙間から差し込む光が、まるで細長い刃物のように床を切り裂いている。私は布団を跳ねのけ、深く息を吸い込む。肺の奥まで新鮮な空気が染み渡り、細胞の一つ一つが覚醒するのを感じる。
静かだ。時計の針の音すら聞こえない。だが、違和感はない。むしろ、すべてが正しく配置され、何もかもが完璧に調和している気がする。私はベッドから足を下ろし、ゆっくりと床に触れる。やわらかい。まるで絹の上を歩くような感触。
ふと窓を開ける。眩しさに目を細めながら外を見ると、世界はひどく滑らかで、角がない。街も人も、空気すらも、どこか均質で、気持ちがいい。私は微笑む。今日もまた、完璧な朝が訪れた。
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